今から、数年前の秋頃、私は、ラオスのヴィエンチャンのワットタイ国際空港に降り立ちました。
私は、ラオス人女性とお見合いをするため、飛行機に乗り、ラオスへ向かったのです。空港に降りると、結婚相談所のスタッフの方(これ以降Aさんとします)が、迎えに来てくれていました。そして、Aさんは、私をホテルまで、送ってくれました。
ホテルで一晩寝ると、翌朝、再び、Aさんが、ホテルまで、迎えにきてくれて、お見合いの会場まで、連れて行ってくれました。
お見合い会場に行くと、そこに、嫁が居ました。
私は、とても緊張していました。
私がとても緊張していたのは、自分に自信がないことが原因です。他に理由はありません。嫁に結婚を断られるのではないかと、とても、心配でした。私は、もう50歳を過ぎており、日本では、若い女性と結婚するには、ほとんど不可能な年齢です。
自己紹介では、必死になって、自分をアピールしました。
私は、ラオス人と同じように、仏教徒になるし、大抵のことなら、なんでもやると、嫁とAさんに言いました。
私は、それだけに止まりませんでした。私は、どうしても結婚してほしいと必死なあまり、自分の年収を少し、多めにふかして、嫁とAさんに、申告してしまいました。
今となっては、詐欺に近いようなことをしてしまったと、反省しています。私は、一生かけて、なんとか、この償いはしたいと思います。
私の予想に反して、嫁は、私との結婚に意欲的でした。
それから、私と嫁とAさんは、レストランへ行きました。Aさんは、私に関して質問がないかどうか、嫁に聞いてくれました。嫁は、私の自己紹介の書類を見ただけで、「この男のことは、分かっている。酒もタバコもやらない。それ以外に聞くことは、何も無い」と答えました。私は、それ以上、質問攻めに合うことはありませんでした。嫁は特にそうなのですが、ラオス人は、細かいことをあまり気にしません。
レストランを出て、パトゥーサイ(凱旋門)と言われる観光地へ、デートに行きました。そこで、写真を取り、ヴィエンチャンで一番大きなデパート(タラ―トサオ)の喫茶店へ入りました。
喫茶店で、ココナッツの実にストローがさしてある飲み物を私は、注文しました。私が、ココナッツジュースを全部飲むと、嫁は、スプーンで、ココナッツの白い実を削り、私の口に、スプーンで入れて、食べさせてくれました。
私は、面倒見のとても良い、この嫁を、とても、気に入りました。私は、必死でしたので、婚約式を1日でも、早く、挙げたいと、言いました。
私の言葉を聞いたAさんは、嫁に、気持ちを確認しました。そして、婚約式の日取りが、その日から16日後に、決まりました。
こんな重大なことを一瞬で決めるなんて、ラオス人は、なんとも、潔良いなと、私は、思いました。同時に、婚約が決まり、とても、ホッとしました。
大らかで、とても家族思いの優しいラオス人嫁には、本当に癒されます。
私は、このお見合いのときに、初めて、海外の地を踏みました。不慣れなせいで、勝手が分からず、不安もありましたが、ラオスで、お見合いをするということに、とても、意義があったと思います。日本人は、ビザなしで、ラオスへ入国できますが、ラオス人である嫁が、日本へ来ることは、事実上出来ないからです。
そして、嫁との出会いは、物心ついてからの私にとって、最も重要な出会いであったと思います。とてつもなく大きな宝物を私が手にした瞬間です。